こんにちは、
かれこれ15年、個人でゲームを作っている晋太郎と申します。
今作の秘話について、お話させてください。
懐かしさと人間味のあるクリーチャー
わたしの住む新潟市には、かつて中心繁華街にローサという地下商店街がありました。
バブル時代にできた、豪華なメルヘンの内装、
ちょっと不気味なピアノを弾く自動人形などありましたが、
商店街の業績悪化と老朽化 により、この2025の3月にテナント撤退、閉鎖となりました。
あなたの街にも、そんな忘れ去られた思い出の場所があるのではないでしょうか。
本作のクリーチャーは、よくあるゾンビや兵士などではなく、
「思い出の残る廃墟で、 忘れ去られたおもちゃ」
「ゆいのような子供と遊びたい、子供を元気にしてあげたい」
どこか懐かしいテーマパークのような、
記憶の奥底から引きあげてきたようなクリーチャーたち。
声優さんの力を借りながら、
そんな懐かしさ、温かさ、 悲しさと寂しさ、 狂気の入り混じった、
インディーだからできるホラーゲームとなっています。
幼児性と向き合う
12年前にフリーゲーム「UTOPIA」を出してから、
作者・晋太郎も、少しは大人の気持ちもわかるようになりました。
両親の不仲と引っ越しで、情緒不安定になりそうだった、ゆいだけでなく。
生活困窮でも、娘を守るために、古い団地に引っ越してきたおかあさん。
この世の設計図を変えてでも、昔の懐かしい幸せを取り戻したかったおとうさん。
ですが、みんなどんなに大人になっても、一皮剥けばみんな、
ゆいのような幼児性が、心の根底には残っているのです。
クレヨンしんちゃんオトナ帝国の逆襲のように。
「この世が作り変えられていく」狂った世界は、
AIでこれまでの価値観が崩れている
今の時代そのものと言えるかもしれません。
それでも「壊れた」元の世界で生きようと思った、お父さん。
何度も転んで怪我をしながら、自分の足で自転車を漕いでいく、
ゆいを描きたかったのです。