学園のふもとに広がる、海の向こうには
小さな島がぽつりとうかんでいた。
半世紀前、かつてこの島で起こった戦争の記憶を
隠すように、豊かな原生林が生い茂る、美しい島。
聖カトレア高等学校のしずるは、クラスの生徒とともに
この島の資料館に、見学に来ていた。
かつての戦争を物語る、たくさんの写真や遺留品。
ふと、床に落ちていた、何かの欠片を拾ったとき
まぶたがとても重くなる。
目を開けると、少しずつ朽ちていく資料館。
どこから入ってきたのか、辺りを飛び回る危険な生物。
静かに、確実に近づいてくる恐怖の中、
しずるは島の奥へ続く
封鎖された廃道へ、足を踏み入れる。
そこは、行き場を失った記憶が彷徨う
もう一つの世界だった。